カントリーミュージックの聖地
アメリカ、テネシー州のナッシュビルを観光している。
1時間以上行列に並んだ割にはそんなに美味しくなかった地元の人気店
『Hattie B's(ハッティー・ビーズ)』のチキンを食べ終え、
あのエルビ・スプレスリーなど
数々の著名アーティストがレコーディングをしていることで有名な『RCAスタジオB』へ向かう。
(1ドル=約103円。 2016年10月。)
▼前回の記事(ナッシュビル観光前半)
▼アメリカ横断まとめ【完全版】
レモネード片手に、RCAスタジオBという歴史的レコーディングスタジオに徒歩で向かう。
先ほども述べたが、
エルヴィス・プレスリーを始め数々の著名アーティストがここでレコーディングを行っている。
▼RCAスタジオBの場所
とりあえず内部侵入を試みたが、
ドアにはしっかりと施錠がされており中に入ることはできなかった。
どこか入れるところはないか?
と、スタジオの周りをうろちょろしていると、
裏口からスタジオツアーとみられる団体がぞろぞろと出てきた。
そのツアー客はRCAスタジオBのバスに乗り込んでいった。
なるほど、ここはツアーに申し込まなくては内部見学ができないのだな。
後で調べてみると、
ツアー参加にはカントリーミュージック殿堂博物館での事前申し込みが必要とのこと。
▼RCAスタジオBの場所
このRCAスタジオBは『ミュージック・ロウ』というナッシュビルダウンタウン南西地域にある。
ミュージック・ロウには、
カントリーやゴスペルなどの音楽産業企業の本拠地が何百も集結している。
しばらく閑静なミュージック・ロウエリアを散策していると、
どこからともなく奇声が聞こえてきた。
”この奇声はまさか。。。”
私がその奇声の正体を瞬時に判断した矢先、
目の前の角から例のビールを飲みながらペダルを漕いでいる連中がゆっくりと姿を現した。
御多分に漏れず、この連中は意味もなく奇声をあげて中途半端に盛り上がっている。
”おいおい、このような歴史的で閑静なエリアにまで君らみたいなうるさいのが侵入してこないでくれ。。”
と、内心思った。
スポンサーリンク
ナッシュビルの街を歩いてみた印象として、
どこを歩いていても何かしらの音楽が耳に入ってくるということが挙げられる。
特に何もない横断歩道のところにもこのようなミュージックボックスが設置してあり、歩行者の足を止めさせる。
さすがは音楽の街ナッシュビル。
そういえばヨーロッパにも音楽の街ウィーンというところがあったが、
その街の雰囲気は言うまでもなくこことは全く異なるものだった。
ウィーンが何百年もの歴史と文化を誇る上品なクラシック音楽的街だとしたら、
ナッシュビルは歴史の浅い国アメリカらしいカントリー&ウエスタンな街、
といった印象。
ちなみに、
カントリーミュージックの発祥地は実はここナッシュビルではなく、
お隣のジョージア州アトランタであるということはあまり知られていない。
再び徒歩でナッシュビルダウンタウンへ戻る。
その途中、変なおっさんに『ホワイト・キャッスルへ行きたい。』と声をかけられた。
ホワイト・キャッスルとはアメリカのファストフード店。
”なんだ、道案内か。”
と思い、
『ホワイトキャッスルならほら、あそこに見えるでしょ。すぐそこだよ。』
と、道路の反対側にあったホワイトキャッスルを指差して言った。
すると、
『違う。ホワイトキャッスルへ行きたいんだが金がないんだ。俺はハングリーなんだ。だから。。。』
おっさんはそんな感じで話を進めた。
”バカ言うんじゃないよ。なんで俺らがお前の飯代を払わなければならないんだ。”
それがお金を要求するものだと分ると、
『ごめん。』
と一言言ってその場を離れるしかできなかった。
それにしても、
あのおっさんはなんであんなにホワイト・キャッスルにこだわっていたのだろう?
15時。
ブロードウェイのメインストリートへ戻ってきた。
するとそこは午前中に見ていた光景とは全く違うものに変貌していた。
とにかく、人で溢れかえっていた。
各ライブバーからは爆音で音楽が鳴り響いていて、
”これが本当のナッシュビルの街の姿なのか”
と、午前中の物静かな様子とのギャップに驚いた。
まあ、この日が土曜日だということも少なからず関係していただろう。
さらに私を驚かせたのは、
ブリヂストン・アリーナで今夜行われる予定だという私の好きなUKシンガー
アデルのライブ。
ちょうどカナダのトロントにいる時にもアデルのライブが行われていて、
そのデジャブに私のテンションがググッと上がった。
なんか、アデルのツアーの追っかけをしているみたいだ。
”これは、値段次第では当日券購入もアリだぞ。”
そう思い私は相方を置いてアリーナ内へと入っていき、チケット売り場を覗いた。
いくらだったかは忘れてしまったが、
そんなに高くない値段で当日券が売られていた記憶がある。
でも結局、
相方のことも考えて今回このライブへの電撃参加は見送ることに。
せめてグッズだけでも、とも思ったが、
極力モノを増やしたくない私にとって、参加すらしてないライブTシャツを購入するなど到底できない。
結局今回は記念写真だけ撮ってその場を後にすることにした。
これが北米ツアーだとすると、
もしかしたらまた別の街でアデルに出くわすかもしれないな、
と少しこの先が楽しみになった。
その後、カントリー・ミュージック殿堂博物館へ。
このピアノの鍵盤のようなアーティスティックな建物が目印。
1967年のオープン当初は先ほど訪れた『ミュージック・ロウ』に存在していたこの博物館だが、2000年に閉館。
2001年に現在の場所に新しいカントリー・ミュージック殿堂博物館を華々しくオープンさせた。
館内見学には入場料が必要になるが、
建物に入ってすぐのホールのようなところは無料で出入りできる。
しかもここには無料Wi-Fiが飛んでいる。
ここで今夜の宿をナッシュビル周辺で確保しようと検索をかける。
しかしどういう訳か、この日に限ってナッシュビル周辺の宿がどこも満室。。
空室があっても、
我々のような倹約旅行家には到底手の出せない値段のホテルばかり。
”なぜだ?街はなんか賑わっているし、今日なんかあんのか?”
いくらアデルが世界的ビッグシンガーだからといっても、
ナッシュビル中のホテルを満室にしてしまうことはなかろう。
まぁ、調べても部屋がないなら仕方ない。
この際飛び込みで何件かモーテルをあたってみよう。
案外そのほうが大手ホテル予約サイトを経由するよりも安いかもしれないし。
そう思い、とりあえずこのカントリー・ミュージック殿堂博物館のホールで少し寝た。
慣れない車中泊でしっかりと睡眠がとれていないのか、
ここにきての睡魔はハンパなく強い。
駐車場に戻っても眠気が取れなかったので、車内で横になって再びしばし仮眠をとった。
もう日が沈もうという頃、ようやくエンジンをかけてナッシュビルを出発。
その後郊外に出てハイウェイ沿いのモーテルに何件かアタックをしてみたのだが、
ことごとくどこも今日は満室と断られる。
一応全ての場所で1泊の値段を聞いて回ったのだが、
それは90ドルだったり110ドルだったりと、
平均しても100ドル前後の値段のところばかり。
もし空室があったとしても、
その値段では倹約旅行家である我々の首を縦には振らすことはできないぞ。
最後の可能性を信じ、
『今夜の車中泊はなんとしてでも避けたい』
と言う相方がMaps Meという地図アプリで探し出した"名もなきモーテル"へと向かうことにした。
名もなきモーテルという名は、
Maps Me上に名前が表示されず、ただ"Motel"とだけ表示されていたことに由来する。
スポンサーリンク
名もなきモーテルへ到着する前にSPEEDWAYでガソリンを給油。
ここは1ガロン1.949ドル(1リッター約53円)と、
ついに1ガロン2ドルを切ってきた。
端数調整が面倒くさかったので一気に30ドル分依頼したが、
実際は写真の通り18.72ドル(約1928円)分しか入らなかった。
30ドル分依頼するのはよっぽどガソリンメーターがエンプティーに近い時だな、
ということが感覚としてわかってきた。
ガソスタを出て約30分ほどで『名もなきモーテル』に到着した。
ここはナッシュビルから南東方向へ4、50分ほど走ったところにある
Murfreesboro(マーフリーズボロ)という小さな町。
ナッシュビルを出る時、
この先の進路を南西方向に約340キロメートル進んだところにある
エルビス・プレスリーのゆかりの地メンフィスにするか、
南東に約400キロメートル進んだところにある
夏季オリンピックが開催されたアトランタにするかで迷っていた。
アメリカ横断と言いながら、
当面の目標をフロリダ州にあるアメリカ最西端の町キーウエストに設定している。
まずはフロリダへのセオリールートであろうインターステート75号線上にあるアトランタへ行き、
メンフィスへはフロリダから折り返してきた時にまだ行きたいと思っていたらその時に行けばいい。
そう思い、まずはジョージア州アトランタを目指すことに決定。
名もなきモーテルに飛び込み、恐る恐今夜泊まれる部屋はあるか聞いてみた。
すると、答えは『YES.』。
しかしここのおっちゃん、
『ツインルームはないけどシングルに2人泊まれる』、
と言ったかと思えば突然
『ツインルームはある』と言いだしたりして。。
何を言っているのかわからないのは私の英会話能力の問題か、
それともこのおっちゃんの基本的会話能力が問題なのか。。
私の感覚では、後者の問題がかなりのウェイトを占めているように感じた。
まぁとにかく、部屋はある。あとは値段だ。
先ほどまでは安くても100ドルくらいが相場だったモーテルの料金。
恐る恐る料金を聞いてみたら、
『55ドル(約5665円)だ。』
と。
『55?それは1人55かい?』
『2人で55だ。』
『オッケー、じゃあここに泊まるよ。相方を呼んでくるからちょっと待ってて。』
私は "相場100ドル"と "ここ55ドル" のギャップの大きさから、
部屋の確認するせずにここでの1泊を即決してしまった。
長い平屋アパートのような見た目の建物。
その一番端っこの部屋に案内された。
部屋に入ってみるとそこには紛れもないツインベッドが用意されていた。
いったいあの時おっちゃんは何を言っていたのだろうか。。?
ちょっと薄汚さはあるがしょうがない。
そういえば
旅行者にとっての3種の神器の一つとも言えるWi-Fiはあるのか?
おっちゃんに尋ねると、
『たまにあるが、たまになくなる。』
というまたしても難解な返事をしてきた。
”そんなオバケみたいなワイファイこの世に存在するのか?”
『どういうことだ?ここに表示されているWi-Fiは違うのか?』
と、iPhoneに表示されたWi-Fiをおっちゃんに見せながら私は言った。
するとおっちゃんはどこかに電話し始め、
その電話が終わるとパスワードらしきものを教えてくれた。
しかし、そのパスワードではなぜか全く繋がらない。。
するとおっちゃんはまた
『たまに現れるんだが、ない時もあるんだ。』
という謎の発言をし、
結局、このモーテルに泊まっている間そのパスワードで繋がるWi-Fiは1度も現れなかった。
バスルーム。
綺麗ではないが、汚すぎるわけでもない、なんとも言えないクオリティー。
ベッドに横たわりグダグダしていると、見てはいけないものを発見してしまった。
そう、ベッドに思いっきりガムがくっついていたのである。
”どうやったらこんなところにガムがつくんだ。。”
これはもう部屋チェンジだ。
それができないなら値段交渉も厭わないぞ。
そんな意気込みで我々はおっちゃんのところへ行きこの件について訴えた。
するとおっちゃんは
『シーツを変えるからちょっと待ってくれ』
とシーツを持って我々の部屋へ向かっていった。
奥さんかなんなのかは知らないが、
裏で実権を握っていそうな女性が現れおっちゃんと二人で迅速にベットメイキングを始める。
目の前で見ていた私はその意外な手際の良さに少し感心してしまった。
ささっとベッドメイクを完了させると、
おっちゃんと女は『ごめんね』
とだけ言ってさっさと部屋を出て行ってしまった。
嵐のように現れ嵐のように去っていったこの2人に完全に言葉を失ってしまった。
もはや値段交渉などの余地すら与えてくれない。
でも、ここまで完璧にベッドメイクされたら文句を言う気がだいぶ収まった。
その後私は1時間無料のどっかのWi-Fiが飛んでいることに気づき、しばらくそれで時間を潰した。
その後はテレビ放送されていたドラゴンボールZを見てから就寝した。
ちょうど、悟飯がセルに立ち向かうところで終わってしまった。
続きが見たい。。
▼次回記事
▼アメリカ横断まとめ【完全版】